【書評/読書感想】「スポーツ事業マネジメントの基礎知識」(金森喜久男)

Jリーグクラブは「勝敗」と「経営(利益を出す)」の2軸で評価される。タイトルを獲りまくったところで、10億円の赤字を出したのではクラブ存続の危機だし、逆に10億円の黒字を出しても万年残留争いを強いられるクラブには夢を見れない。

両方難しいミッションだと思うが、「経営(利益を出す)」の方がJリーグ全体的には苦戦している印象がある。一時期の浦和レッズはその圧倒的な集客力から結果も出すという好循環で成功例としてもてはやされた時期があったが、それ以外の例を知らない。強ければお客さんが入るが、お客さんが入らない事にはお金が貯まらないので強くなれない。ただ、強くなったらなったで選手の年俸が上がって経営圧迫。高額年俸の選手を放出したらチームが弱くなってお客さんが来なくなる・・・という悲しいサイクル。

ゆえに、現在のJリーグにおいては「弱くてもお客さんが入る」アプローチを検討するのが正なのだと思う。一か八か大型補強でギャンブルするような体力はJリーグクラブにないし、「鶏卵」の話にはならない。



■ガンバ大阪前社長が考える顧客の創造

そこで参考になるのがこの一冊。ガンバ大阪前社長が考えるクラブ経営についての考え方がガンバ大阪社長時代のエピソードと共に紹介されている。内容的には以前発売された「サッカー界における顧客の創造」と重複されている箇所が多い。ただ、この本は暴露的な内容が多すぎて発売停止になっているため読んでいない人にはオススメ。金森前社長が関わった「ユース選手に必要な教育と追手門学絵院との提携」「美味G横丁誕生秘話」など全ては顧客満足のためにという視点を軸にあった事が語られている。

そんな中でも2章を割いて紹介されている新スタジアムについての内容が最大の読み所。万博スタジアムの課題、関西サッカー界発展など多角的な視点で構想が生まれた経緯の他、実際の建設内容についても「額」「社名」「コンペ方法」「施工法」「構造部材」などは具体的な数や固有名詞と共に詳細に紹介されている。


新スタジアム、ホームゴール裏からの景色


相手サポから一般客を守る対策もバッチリ


決起集会をするには少し狭いコンコース


丁度いい傾斜の角度


そして、なにより観客席からピッチが近い

クラブ経営においてキーとなる新スタジアム完成を機にガンバ大阪というクラブがどう発展するのかますます楽しみになった。

P.S.最後の章には「パラリンピック」や「体罰」についての持論が掲載されている。本書全体的に言えるのだが、視点がJリーグに留まらず「スポーツ業界全体」を向いている気がした。金森さん、日本のスポーツ業界中枢組織への進出を狙ってる?

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