【書評/読書感想】「ゲームセットにはまだ早い」(須賀しのぶ)

スポーツを人間ドラマとして書く事に対する賛否はあるのだろうけど、Numberを読んで育ってきた世代の自分としては好きなジャンル。ゆえに、その極みであるフィクションとしてのスポーツ小説も好き。プレーヤーとしての自分と重ね合わせて読む事もできるし、自分が今応援しているガンバ大阪と重ね合わせて読む事もできる。スポーツを媒体とした「心のつながり」「成長・克服」的なテーマは学生時代から30代に突入した今でも感動できる個人的鉄板。

今回紹介する「ゲームセットにはまだ早い」は野球小説。主人公は存在せず、章ごとにクラブチームに所属する元エリート選手、ベテラン、若手のホープ、スランプに陥った元天才、マネージャーの視点からチームの成長過程が描かれている一冊。複数の登場人物の視点から書かれる小説はトレンドだと思うけど、チームスポーツをテーマにした小説の場合、所属する選手やマネージャーの心情がどうシンクロしてチームとして機能するのが上手く表現されていて面白い。

ゲームセットにはまだ早い

■天才の復活

多少のネタバレにはなってしまうが、一番盛り上がったのは元天才選手の復活の章。身体的才能と、心のバランスが取れずに実力を発揮できなくなった選手が、その高いポテンシャルを監督に見出される事で再生へのアプローチを受け、チームメイトや地域の人などのサポートもあって心に変化が生まれ、再生していく・・・という、いわゆる「ベタ」な内容。

「個」の話なのだけど、その「個」はチームの存在ありき。つまり、個はチームに生かされている。そういう感覚は最近、自分も持っている。「誰かのために」というモチベーションを得た時、人は強くなれる。そして、そういう出会いを多々提供できるのがスポーツ。

そして、そういうメンタリティをもった人をチームも必要としているというストーリーになっているのがこの小説の素晴らしい点。スポーツは人生の縮図。求め求められ・・・組織と個の関係は鏡である。

※過去のスポーツ本書評はこちら



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