【書評/読書感想】「通訳日記 ザックジャパン1397日の記録」(矢野大輔)

W杯でもう少し結果を残していればベストセラーのポテンシャルがあった一冊。書籍版「六月の勝利の歌を忘れない」。坦々と起きた事が綴られているという点で「28年目のハーフタイム」とも違うので、この本を読んでの感想は人それぞれになりそう。間違いないのは2014年ワールドカップ総括するメディアで完全にNo.1であるという事。

本書を読んで一番感じたのはザックがモチベーターであるという点。メディアからも「人格者」と評価されていた通り、素晴らしいパーソナリティを持っていた事を知れるエピソードがずらり。監督に求められる最大の要素はそこだと思うので、やっぱりビッククラブを率いてきた実績は伊達じゃない。期待を選手に伝える手法などは昨年三冠を達成したガンバの長谷川健太監督の手法とも通じるところがあって面白かった。戦術における細かい約束事も日本人に合っていたと思うし、W杯以外では結果も出しているのでもっと評価されていい監督。

ガンバサポ的にはW杯でなぜヤットがスタメンや今ちゃんがスタメンを外れたのかについての言及がどこにもないのは残念だったけど、スタメンを外れてもなおチーム内において個別にザックから相談を受けていたエピソードなど信頼は最後まで続いていた事を知れたのは救い。また、就任序盤では家長にヤットの後継者として大きな期待を寄せていた事や、19歳の宇佐美に対して指摘している課題が今の課題と全く変わっていない点など読み所多し。

通訳日記 矢野大輔

■長期政権ゆえのマンネリ

そんなザックジャパンの最大の敵は「マンネリ」。就任直後からW杯まで主力メンバーの入れ替わりが少ないチームだったゆえにチームの完成(ピーク)が早めにきてしまったんじゃないかなという印象。個人的にはピークは最終予選のオマーン&ヨルダン戦あたりだったと思う。あの試合を観た時は本当にW杯で優勝してしまうかもと期待した。

2013年のセルビア&ベラルーシ戦での連敗あたりで監督への求心力が落ちている事が伺いしれるエピソードがあるし、その後はチーム力を高めるというよりもW杯にむけてなんとか気持ちをつないだ感がある。ザックの人柄やキャプテン長谷部の活躍もあってチームはある程度1つになってW杯は戦えていたのだとは思うけども、最高の状態ではなかったのかなと。

ザックの戦術の細かさもチーム終盤には裏目に出ている部分もあったようで、そういう事を知るとヤットのようなチームに「遊び」を与えられる存在がスタメンには必要だったんじゃないかなとも思う。長谷部のキャプテンシーをかなり重宝して怪我を抱えていてもなおW杯でスタメンで使い続けたけど、ヤットの存在もチームにとって長谷部と同等以上に重要だったんじゃないだろうか。

マンネリはチームが順調に結果を残してきた事の裏返しでもあるゆえに長期政権の難しさを感じた。ザック監督の後を継いだアギーレ監督がこの先どんなチームマネジメントをみせてくれるのか楽しみ。

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