【書評/読書感想】「一流のリーダーたちから学ぶ勝利の哲学 今すぐ実践したい指導の流儀」(長谷川健太)

我がガンバ大阪の監督である長谷川健太さんと各スポーツ界の名将と呼ばれる方々との対談本。清水エスパルス監督時代に優勝できなかった事を背景に対談を通じて指導のヒントを得ようというコンセプト。本のベースは静岡のTV番組「スポーツパラダイス」。長谷川健太監督は基本的には聞き手のため、「長谷川監督、指導の極意」という感じの内容ではない。ただ、対談から長谷川監督の考え方は垣間見る事はできるし、他スポーツ業界からヒントを得るという姿勢はオリジナリティある指導を求める上では大切な事。対談形式なので読みやすく、2時間あれば一冊読み終える事ができるので応援遠征の移動時間にでもどうぞ。

一流のリーダーたちから学ぶ勝利の哲学 今すぐ実践したい指導の流儀

■長谷川監督が重要視するポイント

この対談がきっかけになっているかどうか分からないものの、いくつか既にガンバで実践している指導法も登場。例えば、ラグビー清宮克幸さんの「有言実行」。目標を明確に伝える事で選手に本気度を感じてもらうというもの。今年のガンバもシーズン前に「シーズン通算勝点90」と、「リーグ全42試合を6つに区切って、1クールの7試合で勝点15」という明確な目標設定をチーム内外に伝えていた。

ちなみに、本書の中で長谷川監督から何度も語られるワードがあって、それを各名将にぶつける事で確認をしているかのようにも読めた。そのワードとは「献身性」。「自己犠牲」とか「勤勉さ」などと言葉は変わるのだけど、基本的には同じような意味合いで使われてる。日本人のチームを強くする上でキーワードとして考えているみたい。

あとは「気持ち(の強さ)」。元清水の岡崎の名前がちらほら出てくる。技術はないけど気持ちの強さは持っていた岡崎の急成長は長谷川監督にとって印象的な出来事だったよう。こうやって考えると武井あたりはもっと長谷川監督に使われてもいいような気がするけど、また違った重要視するポイントがあるのかも。

他にもマンネリを生みださない選手起用もポリシーとして持っているようで、選手の入れ替えは積極的に行っていきたいとの事。世代交代とかチーム力を底上げする意味では長谷川監督は適任なのかもしれない。同時に監督として1クラブに留まるのは3~4年がベターと考えているような事を示唆する部分もあり、長谷川ガンバはJ1での2、3シーズン目あたりが勝負年と考えてチームの成長を見守るのも1つの楽しみ方。

一方で練習法としてのマンネリは必要という考え方。本書に収められている中で一番面白かった斎藤孝さん(明治大学教授)との対談で出てくる話題で、「完全に型が身につくとクリエイティブになれる」という斎藤さんの言葉に長谷川監督自身が勇気をもらっている様子。同じく斎藤さんの「追い込む」指導法にも感銘を受けているようで、斎藤さん曰く「若い子は従順だから、指導者が高い水準を設定し、課題をどんどん与えていけば着実に成長していく」。確かに藤春、宇佐美あたりは信じられない成長を見せそうだけど、西野&ウッチーあたりは実好コーチのフォローが必要な気もする。

とまあ、細かい事は色々と書かれているのだけど、結局行き着く所は「コミュニケーション法」。人間力と言うか、モチベーターというか、チームマネジメントは人対人の仕事なのである意味の結論。チームに指示を送る時も印象的なワード(例えば、オフト監督の「トライアングル」、西野監督の「タフ」・・・は違うか。)を考えているようで、監督には豊富な語彙力も求められる。サッカーバカにはできない仕事で、優秀な選手が優秀な監督になれない理由はこのあたりにあるのかもしれない。

この本は清水の監督退任後の対談だけど、清水サポが読んだらまた違う感想になるんだろう。この本を読んだり、ガンバのサッカーを見ている清水サポに長谷川監督についての意見を色々聞かせてもらいたい。そんな長谷川監督への興味を深めてくるガンバサポ必読の一冊。

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