【書評/読書感想】「Jクラブ強化論」(田中直希)

結局、全ての仕事において本質的な部分とは人と人の「コミュニケーション」である事を改めて考えさせてくれる一冊。「コミュニケーション論」の本と言い換えても相違ないはず。この本に出てくる強化部の人々は「選手」、「クラブ(フロント)」、「代理人」等々の間に入って、「潤滑油」(名古屋・久米さん)になる事を求められ、その役割を果たすためにどのような考え方や方法論を持っているかが紹介されている。

専門用語がたくさん出てくる様な「テクニック論」の本ではない。強化部の仕事がサッカーにもビジネスにも偏らない広い視野や知識など総合力が求められる仕事である事を痛感。チームを強くするためには単純に上手な選手を集めてくればいいという訳ではない。各クラブの強化部長が重視する考え方を継続して選手やフロントにコミュニケーションを続ける事。そして、それがクラブのパーソナリティーになりえる。強化部の考え方がそのままクラブの方針にもなりえる訳で、責任重大な仕事。

Jクラブ強化論

具体をあまり書くと著者に悪いのでほどほどに控えるけど、この本にはガンバ梶居強化本部長も登場。松下人事部からガンバに転職(出向ではない)した経緯、同じ鹿実出身の岩下獲得の意図、同じ代理人と組む選手が多い事の是非、外国人選手を獲得する上での考え方、今後の編成プランなどガンバサポ必読の内容。

梶居さん曰く「まず存続」。J2降格を受けてそう考えるようになったらしい。そして、その後に5年後10年後を考えて編成。今のガンバはベテランが多い中で、次の世代にどうやって切り替えるのか考えてると。これを読むと改めて大切な時期に強化本部長に就任された事に気がつかされる。

その中で梶居さんが強化本部長ながら社員という立場である事に対する是非が書かれている(※他クラブでは強化部長が選手と同じ契約(プロ)社員である場合がある)。選手と同じ立場で働かないと選手との信頼関係が築けないという意見もある。ただ、長く在籍する事がある程度保証されてるがゆえにチーム強化における長期プランに関する言葉に信頼性が出るなどのメリットもあるんじゃないだろうか。チームに考え方やスタイルを浸透させるのにも時間がかかる中で、監督も強化部もある程度は長いスパンを任せるという考え方は悪くないと思うのだけど、皆さんもこの本を読んで是非考えてみて下さい。

結局、全てはコミュニケーション方法次第なんじゃないだろうか。コミュニケーション次第で関係各所の考え方、捉え方が変わり、モチベーションが変わり、プレーが変わり、クラブが変わる。その先にクラブ関係者の考え方がシンクロするようになり、積み重なる事で伝統になる。つまり、クラブのスタイルが作られる。3年後、同じ登場人物でこの本の続編が出ても面白そう。とても勉強になる「今」読むべき良本でした。


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コメント

田中さんはヴェンゲル監督を招聘したヒト

こちらへの書き込みは初めましてでしょうか!?同じガンバ大阪を応援するブロガーですが、よろしくお願いします。

この本は非常に興味深いですね!!梶居さんが出ているのは読んでみたい!!書評が上手いですね☆

田中さんはヴェンゲル監督をグランパスに招いたヒトでしたよね!?ピクシーの現役時代も。

貴重な書評堪能しました。有難うございます☆

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