ピッチ上のコミュニケーションで大切なこと -マリノス戦を担当した上田益也主審の不安定さを受けて-

【ガンバ大阪 1-2 横浜F・マリノス】

「伝え方が9割」という本が大ヒットしたが今節の主審を担当した上田益也氏は課題図書として読んだ方がいい。大前提として基準がブレる(見えていない)力量不足の改善が最優先ではあるが、異議をとなえる選手とのコミュニケーションにも難があるように見えた。

吹田スタジアムになってから主審や選手の表情がよく見えるが、選手の抗議に対応する上田主審には余裕がなかった。ナメられまいと威厳を示そうとする心理が働くのか、諭すようなコミュニケーションが少なかった。興奮状態の選手に対して興奮で返す。これでは悪循環だろう。そもそもの発端は上田主審のヘボジャッジなのだから尚更である。イエローカードの出し方など癪に障る。


審判の表情まで見える吹田スタジアム

一方、今節はJリーガー同士だからこその独特なコミュニケーションシーンも見れた。途中出場した米倉とマッチアップした山中亮輔選手がファーストコンタクトからギリギリのフィジカルコンタクトを仕掛けてきた。そうした中、ゴールライン付近でボールをキープする米倉に対して明らかなアフタータックルのファールが発生。米倉は怒りを隠さず山中選手に何かを叫んでいたのだが、山中選手が手を差し伸べた瞬間にその手を掴み何事も無かったかのように山中選手の腰をぽんと叩いて試合に戻っていったのだ。

被ファールなど日常茶飯事で感覚が麻痺していたり、お互い様様だったり……米倉の怒りがすぐに収まった理由は色々推測されるが重要なのは相手がファールを認めた(手を差し伸べた)点にあるのではないか。このシーンは上田主審のコミュニケーションの在り方にも参考になるはずだ。

今節の2失点目。失点直前にジョンヤが相手に明らかなファールで倒されている。見逃されたことに激しく抗議するガンバの選手達。上田主審が言う。

「すいません。そのシーンは見てませんでした。」

それを受けたガンバの選手達が返答する。

「じゃあ、仕方ないな。次は頼むよ」

……とはならないか。それでも東口はやっぱり上田主審を小突くだろう。岩下がいたら胸ぐらを掴むかもしれない。上田主審よ、やっぱりコミュニケーションの問題ではないようだ。東南アジア研修からやりなおしてくれたまえ。

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【俺のアウェイ飯】「きくちひろき」(大宮アルディージャ/熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)

熊谷といえば「暑さ」でお馴染みの街だが、それでも常に列が絶えない熊谷を代表する人気ラーメン店。ラーメン界には色々な系統があるらしく、今回のお店は「がんこ系」とのこと。「看板を付けない真っ黒な店舗外観」や「看板の変わりに巨大な牛骨を店頭にぶら下げる」が特徴なんだとか。宗教色強い…。

味以外のことが語られだすと楽しみ方に深みでる。その積み重ねが文化なのかもしれない。がんこ系は同じ系統でも「分家」「直系」など細分化も可能だそうで、競馬の血統を楽しむことに近い印象も。ラーメン屋は極めていくと職業というよりも「道」だ。ラーメンが日本人に支持される要因の1つではないだろうか。

■店名:きくちひろき
■URL:https://tabelog.com/saitama/A1105/A110501/11002991/



がんこ系の特徴である真っ黒な店舗外観。熊谷駅から徒歩7~8分


同じく特徴の「牛骨」。ガンバの勝利を願ってさすったけど…


カウンターだけの店内。外観から想像するよりは綺麗で快適な空間


一番人気の「中間醤油」を注文


背油が食欲をそそる。チャーシューをトッピング


無化調のあっさりした醤油スープも「がんこ系」の特徴のひとつ


麺は細かたで食感が◎


替え玉


味は客の好みで調整可能


アクセスは悪いものの熊谷開催で美味しいラーメン屋に出会えてよかった

ごちそうさまでした。

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拍手に思う期待値の低下 -鹿島アントラーズ戦-

【鹿島アントラーズ 2-1 ガンバ大阪】

期待値が下がっているだろう。

試合直後の率直な感想は「今節は頑張った」だった。「頑張った」の中には納得感も含まれている。結果を求めて応援しているはずなのに負け試合に納得してしまう自分をどう捉えるべきなのか。

抽象的な「頑張った」とは具体的には何を指しているのだろうと考える。「勝ちたい気持ちが見えた」…まだ抽象的だ。「球際などで体をしっかり張っていた」…普通のことだ。結果、冒頭の結論に至った。

つまり、実力差を認めざるを得ない相手との試合で想定外に最後まで健闘したことを評価している。頑張った…と。自分で書いていて悲しくなる。冷静に思い返せば4~5失点していてもおかしくないゲーム内容なのだが。被シュートは30本だそうだ。弱い。弱過ぎる。本当はこんな試合を認めてはいけない。

チームは末期だ。長谷川健太監督退任という死を待つばかり。試合後のゴール裏は拍手も多かった。私もした。ただ、あの拍手は未来にはつながっていない。


試合前には鹿島神宮では絶対に御利益のない「ガンバ勝利」を祈願

関連記事:【ナビスコカップ決勝】鹿島アントラーズ-ガンバ大阪@埼スタ



その先に価値がある -天皇杯 柏レイソル戦-

天皇杯をPRをする際「優勝したらACL出場権獲得」が定番のPRフレーズとして使われている。天皇杯優勝自体の価値は低い…は言い過ぎだとしても、天皇杯の先にあるものに大きな価値を感じて大会に挑んでいる部分がある。

まあ、世の中はそんなものだらけだ。

例えば筋トレ。ベンチプレスを上げること自体に価値はなく、その結果手にする肉体美に価値がある。デートだってそうだ。水族館に行って、食事をして…それにも価値はあるが過程である側面もある。その先を目指したい。終電を逃したい。

しかし、地道に筋トレを頑張れない奴に、目の前のペンギンにはしゃげない奴に、その先はないのだ。今のガンバには“その先”を見据える資格がないことを見せつけられた。薄々気がついてはいたけども。



■違う楽しみ方を模索する来シーズン

ここ数年、個人的にACLアウェイ遠征はガンバサポーターの輪を広げる貴重な場であったので来年それがなくなるのは悲しい。一方で復活するであろう宮崎キャンプへの遠征、普段はあまり参加しないサポーターオフ会など例年と違うシーズンの楽しみ方があるだろうとも思っている。J2に降格した際、多くのガンバサポーターからJ2地方遠征を楽しみにしている声を聞きしたが、悲しい状況での楽観的思想は大切にしたいメンタリティ。

とりあえず、元旦の過ごし方を考える事からはじめよう。

関連記事: 【天皇杯決勝】浦和レッズ-ガンバ大阪@味スタ





ミ―ヤから学ぶ“自分らしく生きる”大切さ -大宮アルディージャ戦-

最近、転職を考える機会があった。転職を真剣に考えると「自分の武器」は何か考える必要が出てくる。それは転職先でどう生きたいか考えることであり、アピールポイントを明確にする作業でもある。自分は「何キャラ」なのか。一言で自分を表せることができる人間は強い。

昨日、大宮アルディージャのマスコット「ミーヤ」に会った。彼女ほどキャラ立ちしているマスコットはいないだろう。本物を目の前にして痛感した。動きのひとつひとつがプロの技。一言で言えば「ビッチキャラ」。Jリーグの客層を考えればマーケティングからは絶対に生まれないキャラクター設定が支持される時代。子供に悪影響を与える?そんなものは糞食らえ。個性全開で自由に生きるビッチが愛される、それがリアルだ。自分の道を信じていけばいつか分かってもらえる日が来る。


中の人などいない

■自分らしく生きる

今節古巣対戦となった泉澤は「キャラ立ち」している選手だ。“ゼロヒャク”に代表されるドリブルキャラ。ドリブルをしている泉澤が評価されてガンバ大阪に転職した。

しかし、泉澤はガンバで自由に生きていないように見える。周りに気を使ってドリブルを自粛していないか。組織の空気感に自分を合わせようとするのは自然なことだが、異質でいることがむしろ組織のためになることは多い。特に停滞しきっている今のガンバにこそ泉澤のような独力でかき乱せるキャラクターが求められている。ヤットではなく、泉澤がスタメンで起用されている理由は何か。オーバーラップする藤春を囮にカットインする泉澤が見たい。藤春にパスを出すのはいつでも出来る。

泉澤は熊谷でミ―ヤと再会しただろうか。彼女の生き方にヒントがある。


昨年まで大宮の中心選手である泉澤は試合告知ポスターにも登場

関連記事:涙とベテラン -浦和レッズ戦-





【俺のアウェイ飯】「串焼 ほたる川」(サガン鳥栖/ベストアメニティスタジアム)

先日の鳥栖遠征はホークスの試合日と重なった影響か毎年泊まっている博多駅付近のホテルがどこも満室で予約出来なかったので久留米駅に宿泊した。久留米駅は鳥栖駅から程近く、試合後の電車も博多とは逆方面ゆえ空いており快適だった。おすすめ。

そんな久留米での祝勝会は「焼き鳥」屋さん。地元のタクシー運転手曰く、久留米のご当地グルメは焼鳥一択なのだそうだ。地元民にも愛されており、週末は予約なしには多くの店に入れない状態なんだそう。特に今回訪れた店は九州B-1グランプリで優勝経験がる他、一緒に行った福岡在住ガンバサポ仲間が「久留米ミシュランで取ってるから!」と興奮気味に話す姿から地元ではかなり知られたお店であることがうかがい知れた。

看板メニューは「丸腸ごぼう串」。ほたる川のオリジナルメニューで丸腸のジューシーさに甘辛いタレとごぼうの食感がベストマッチングだった。

■店名:串焼 ほたる川
■URL:http://www.hotarugawa.jp/




JR久留米駅からタクシーで数分程度の場所に立地


個室あり。サポーター仲間で騒げる雰囲気の店


リーズナブルで豊富なメニュー


左が「丸腸串」。+30円でチーズトッピング(右)


左が看板メニュー「丸腸ごぼう串」。ごぼうの食感が◎


右が「ダルム」。腸のことで、久留米独特の呼び方なんだとか


チーズ系が美味しかった。特に「チーズベーコン」が最高


チーズつくね串


お餅にチーズ


バラ串。定番もなかなかのクオリティ


気になるメニューが…センポコ??牛の大動脈!?


歯応え抜群な“えのき”に似た食感


博多で楽しもうと思っていたもつ鍋も食べられて満足


デザートの種類も豊富。店長の妹さんが近所でジェラート屋さんをやっているとか

ごちそうさまでした。

関連記事:【俺のアウェイ飯】「奥藤本店」(ヴァンフォーレ甲府/山梨中銀スタジアム)





栄枯転変 -ヴィッセル神戸戦-

【ガンバ大阪 1-2 ヴィッセル神戸】

特定の選手観たさに来場者が増えるなんて何年ぶりだろうか。ツネやヤットに続くニューヒーローの誕生。井手口の露出が増えれば増えるほどクラブの売上増につながるボーナスタイムに突入中。クラブは井手口ビジネスに全力を傾けるべきだ。井手口プロデュースグルメで小銭を稼ぎ、スポンサー様には井手口を広告利用でフル稼働、自治体にはサイン入りユニホームを持参して記念撮影周りだ。今後、井手口にはピッチ外でもすさまじい運動量が求められる。

これまでも急成長した選手は何人も観てきた。ハッシ―、大黒、将生、ミチ…そういった選手達の中でも井手口の成長スピードは異常。ナビスコカップで前半途中交代させられたのが3年前。我慢して起用する大切さを痛感させられる。きっと健太監督の指導が良かったのだろう。結果も残すし、若手も育てる。手腕に疑いなし……という空気感になるニュースが飛び込んできた。長谷川健太監督の今シーズン限りでの退任が決定したのだ。


あと何年後継者でいてくれるだろう…

■長谷川健太監督とのお別れ

「サポーターの悲願達成!」なんてことは書かない。日本の文化的に死んだ人や辞めた人をバッシングするのは悪徳とされている。不倫した有名人も離婚や破局を境にマスコミの報道量は落ち着く。健太監督へのバッシングも減るだろう。今後はこれまでの功績を称えられるステータスに突入する。実際、今節のメンバー紹介時において長谷川健太監督の名前が呼ばれた時のスタジアムの反応はこれまでと違う温かいものだった。言葉は悪いが死んでから評価される。それが良いか悪いかは分からない。ただ、昔からそういうことになっている。

健太監督終了の判断は1年遅かったと思ってる。チームのサイクルが終わっていたことは昨シーズン途中で明らかで、原点回帰以外にチームに刺激を与える術がないように見えた。そういう意味では長谷川監督にどれだけの求心力が残っているかは分からないながらも「長谷川監督のために」という想いがチームに最後の刺激を与える可能性はある。2005年リーグ優勝における松波、2015年天皇杯優勝における明神などチームを去るという事実が力になる事例は多い。

チームも健太監督も守るものはない状態。残りのシーズンを開き直るもの手だ。もはやリーグ戦は終了しているに等しい。「一部主力選手と目指すサッカーの方向性が食い違っている」という報道もあったが、健太監督がサポーターを意識してか建前で発言し続けてきた“攻撃サッカー”を志してもいいのではないか。今シーズン限りとはいえ今節のような賞味期限切れのサッカーは観るに耐えないから。

関連記事:心を預かる ~主体性を促すマネジメント~



【俺のアウェイ飯】「博多 あかちょこべ」(サガン鳥栖/ベストアメニティスタジアム)

御朱印を集めはじめてからアウェイ飯は神社付近ありきになりつつある。先日の鳥栖遠征も博多総鎮守・櫛田神社に行くことを前提に探したお店。博多のグルメといえばラーメンがまず思い浮かぶが、実はうどんも人気であることをご存じだろうか。福岡がうどん発祥の地なんて話も。今年春の北九州遠征の際にも「どきどきうどん」という名の珍しいうどんを紹介したが、今回も個性が光る逸品だった。

■店名:あかちょこべ
■URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40019190/



中洲川端駅や祇園駅から徒歩5分程度の場所に立地


お店の二大看板メニュー。「すぼらうどん」はフォトジェニックで今風


店内には「ずぼらうどん」用に“やかん”が掛けられている


おしぼり。これは何の形?


元祖キーマカレー。大盛は1.5玉 or 2玉から選べる(写真は1.5玉)


3段階で食べる。ひつまぶしスタイル


①まずはそのまま


②揚げ玉投入で食感に変化


③最後はダシを投入


ご飯ものメニューも豊富


博多かしわおにぎり


食後はお店から徒歩1分の場所にある博多総鎮守・櫛田神社を参拝


御朱印

ごちそうさまでした。

関連記事:【俺のアウェイ飯】「今浪うどん」(ギラヴァンツ北九州/ミクニワールドスタジアム北九州)



時代に愛される -ルヴァンカップ・ヴィッセル神戸戦-

【ガンバ大阪 2-0 ヴィッセル神戸】

今野のナイス守備に対して、さらっと「浪速の防波堤」というパワーワードを発せられる実況の若田部克彦アナのセンスに嫉妬を隠しきれない。ルヴァンカップと言えば「残念、そこはシジクレイだ」が伝説の実況フレーズとしてサポーターに記憶されているが、SNS全盛の今の時代においてそういったツッコミフレーズを発せられる能力は重要である。数年前まで批判の対象だった松木安太郎氏の解説(?)が愛される時代なのだ。

“時代”という視点で考えるのであれば、時の人となりつつある井手口だってタイミングに恵まれた選手の一人。ハリル監督が守備を重視する戦術をとらないタイプであればオーストラリア戦でピッチに立っていなかっただろう。そもそもガンバの監督が長谷川健太氏だければなければJリーグにおいてもここまでの出場機会を得ていなかった可能性もある。ガンバサポに批判される守備重視のサッカーが日本の新ヒーローを育てたと考えると人生はどう転がるか分からなくて面白い。まあ、そういうあらゆる巡り合わせを味方にしたからこそ「時の人」なのだが。

ガンバの経験から考えるに日本代表があのサッカーでここまで称賛されているのは試合数が少ないからだと思う。ずっと楽しく観られるサッカーではない。あのサッカーでこの先チームの状態が下がるようなことがあった際、きっと世間の反応は冷たい。ピッチ上においてはリスクマネジメント意識が高いサッカーだと思うが、サポーターの支持という意味では実はリスキーなのではないだろうか。

ハリル監督のブチギレ記者会見に長谷川健太監督のストレスを想像する。ハリル監督ほどマスコミに敵はいないが、サポーターからブーイングされる現状に同じようなストレスを抱えている可能性はある。ルヴァンカップ優勝記者会見でサポーターに対するブチギレる姿が観たい。

関連記事:Jリーグサポーターのジレンマ ~日本代表との距離感について~



【書評/読書感想】「プロスポーツビジネス 私たちの成功事例」(東邦出版[編])

スポーツビジネスやサッカー本を数多く出版している東邦出版の最新作。スポーツビジネス界のトップランナー9人が自身のスポーツビジネスにおけるキャリアや仕事論を語る一冊となっている。同じスポーツビジネスでも本書で紹介されている仕事内容は多様で、クラブ経営、放送権ビジネス、スポーツデータリサーチ…etc.

注目はスポーツファシリティ研究所代表・上林功氏と、JTBに勤める倉田知己氏の章。前者は「スタジアム論」、後者は「スポーツツーリズム論」。共にこれから日本のスポーツ界にとって大きな役割を果たすであろうポテンシャルの高いテーマである。



■スタジアム論

スタジアムについては直近に参加した宇都宮徹壱さんのイベントでもトークテーマになっていた他、6月には完成したばかりのミクニワールドスタジアム北九州を訪問したこともあり、個人的には感度が高くなっているスポーツビジネスのホットワードでもある。

倉田氏は良いスタジアムの条件として「遊環構造の7原則」という理論を紹介している。7原則のうちの1つを紹介すると「循環に広場が取り付いていること」で、マツダスタジアムのバーベキューができる席や“寝ソベリア”はこの原則に基づいて建築されたとのこと。また、スタジアムは地域のために単純にスポーツを観る以外の役割を果たすべきとも記載されており、この考え方はもはや当然といえるほど認知されてきた印象。

前述の宇都宮徹壱さんのイベントでは専用スタジアム建設に反対の立場の方もいて「スタジアムを建設する何十億円という金で老人ホームが何個も建築できる」という発言が印象的だった。地域にとってどちらが必要な投資なのかという話。だからこそスタジアムの在り方として複合型が主張されることが多いのだろう。身近なところではガンバ大阪は吹田スタジアムの指定管理者だが、地域のためにサッカー以外での利用法を考えなければいけない。吹田スタジアムには老人ホームも、病院も、レストランもないが、サッカー関係者以外のステークホルダーに満足してもらえるような使い方をして稼働率を高めることが直近の課題であると本書を読んで再認識した。


吹田スタジアム。結婚式や会議室利用以外の稼働率を高めるアイデアが求められている


ミクニワールドスタジアム北九州。ギラヴァンツ北九州は指定管理者ではないそうだが・・・。

■スポーツツーリズム論

愛するJリーグクラブの応援で日本国内および海外まで遠征する我々サポーター的には魅力を理解しやすい分野「スポーツツーリズム」。サッカー観戦とセットで、静岡に遠征すれば「さわやか」を食べ、福岡に遠征すれば「明太子」を食べる。観光とセットで遠征の満足度を高める。特に企業や自治体のアシストを頼らず、自発的にSNSで情報交換をしながら育ててきた文化だ。

そんなスポーツツーリズムに企業や自治体が力を入れ始めている。背景には高齢化・人口減による税収減などからインバウンドの収入が必要になってきていることがある。そして、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京五輪などビッグイベントも控えていることも大きな理由の1つだ。先のスタジアム論と重なる部分もあるが単純に試合を観てもらうだけだけでは足りないという考え方がベースにある。どのような付加価値を付けるべきなのかを関係者は考えている。スポーツビジネスにおいてコントロール不可能な勝敗(試合)以外の充実を図ることは至極当然のアプローチだ。付加価値とはつまり、より多くのお金を使ってもらうということにもつながり、ステークホルダーに経済的メリットをもたらすことでもある。

本書ではスポーツ観戦をする外国人向けのアンケートとして試合観戦以外に「トレッキングをしたい」などアクティブな体験を求める声が多かったデータが紹介されている。日本人が気づいていない日本の魅力は多々あるようで、大自然の中を走るマラソンや自転車レースに外国人が訪れている事例は近年よく見聞きする。個人的にもマンネリ化して日帰りも増えたアウェイ遠征において試合観戦翌日に「サポーター対抗フットサル大会」や「Jリーグクリテリウム」、「サポーター対抗ゴルフコンペ」などが開催されれば、より遠征が充実したものになるのは想像がつく。他プロスポーツクラブとのコラボレーションも面白い。宿泊費や飲食費などお金もたくさん使うだろう。

再び身近なガンバで考えれば、「エキスポシティでの映画鑑賞券+試合チケット」のような試合観戦だけではなく、試合観戦を軸とした試合前後の過ごし方まで含めたプランの提案が求められているということだ。Jリーグクラブは自クラブだけではなく地域も潤す存在であるべきである以上、考える価値の高いテーマである。それがホームタウンの課題解決につながったり、地域の魅力アピールにつながったりすれば尚良し。


「SPORTEC」で配布されていたチラシ。地域の観光資源を活かしやすい自転車イベントは各地で開催されている。高所得者も多い


関連記事①:俺のアウェイ飯 アウォーズ2016
関連記事②:【書評/読書感想】「スタジアムの宙にしあわせの歌が響く街」(天野春果)