【書評/読書感想】「サッカー依存症」(武智幸徳)

■新聞記者が書く海外サッカー紀行


前回の「ボールピープル」に引き続き海外サッカー紀行モノ。自分の中でこのジャンルが流行してる。単純に知らない事、違った発想が書いてある本は面白く、それは当然Jリーグよりも異文化の方が多い。本書ではドイツ、南米各国、オランダ、スペインの旅での出来事や各国のサッカー関係者への取材の様子が書かれており、どの国も長いサッカーの歴史で築いてきたオリジナルの哲学を持っているのが印象的。哲学は「システム」や「環境」と言い換える事もできるかもしれない。それは国によっても、クラブによっても違っているので正解などは存在しないのだろうけど、そういうものを確立できていない日本のサッカーファンとしては凄く羨ましく感じた。

著者は武智幸徳さん。日経新聞の記者。「新聞記者はサッカーの専門家じゃないし・・・」と考えるのは間違い。武智さんはずっと運動部という事もあり完全なるスペシャリストである事に加え、新聞記者ゆえの文章力、語彙力で本の世界に引き込ませられる。良い悪いではなく、好みの問題だと思うけど、エルゴラや個人ブログなど素人ライター全盛な中で「本物」はすごいなと改めて。

ちなみに、本書の中に出てくる取材対象も日経新聞のルートだからこそ取材できる大物もいたようで、そういう意味でも「新聞記者」が書くサッカー紀行はフリーのライターさんとは違った面白さがある。村上龍さんや万城目学さんなど作家さんのサッカー紀行本を読んだ時も思うけど、サッカー以外の事を沢山知っているという事はサッカーの記事を書いた時に深みを与えているような気がする。

サッカー依存症(武智幸徳)

今年は1試合くらいJリーグ休んで海外サッカーを観に行こうかな。

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【書評/読書感想】「ボールピープル」(近藤篤)

きっと「唯一無二」とはこういう本の事を言うのだろうな。ジャンル的には「フォトブック」。サッカーにまつわる写真と、その写真に付け加えられる文章。この本に出てくる「ボールピープル」は基本的には一般人。サッカーを切り口に色んな人生を垣間見れる。外国での出来事も多く書かれているのだけど、サッカーを介する事で異文化じゃなくなる感覚。すっと自分の中に落ちてくる。悲惨な日常もサッカーを介する事で少し笑えたり、勇気を与えてくれたり。

メッセージ性があるような、ないような・・・表現が難しい本で・・・と思ったら、「あとがき」的な章で作者自身がこの本の事を上手く表現していた。

ボールピープル 書評

作りたかったのは自分の好きな写真がふんだんに使われていて、始まりも終わりも起承転結もなく、うざいメッセージや小難しい理屈は抜きで、すべてが渾然一体となっていて、どのページからでも読み始められ、でもそう簡単には読み切れず、なんだかよくわけがわからないけど、読み終わるとなにががわっかったような気になって、そしてなによりも、今までこんなサッカーの本はなかったね、といわれるような本だった

うん。この表現が一番しっくりくる。なんか壮大な事を言いたいのだけど、何も出てこない感じ。悪い意味ではなく。ただ、面白いのは間違いないし、何か心に残ってる。稚拙な表現になるけども、まだまだ自分が知らないサッカーの世界、魅力を教えてくれる一冊。

P.S.近藤篤さんはじめ、宇都宮徹壱さん、六川則夫さんらカメラマンの人が書くサッカーの文章は知的だし、面白いなぁ。カメラレンズ越しにサッカーを観ると違う世界があるのだろうか。

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