涙とベテラン -浦和レッズ戦-

【ガンバ大阪 1-1 浦和レッズ】

田尻が泣いていた。

試合後、泣いている事に気がついた時は何に対しての涙なのか分からなかった。彼が責任を感じるべきプレーはなく、デビュー戦としては堂々とした佇まいを頼もしく思っていたので、その印象とのギャップに違和感を覚えた。

チームとしては1/34節であっても、彼にとっては大きな意味を持つ一戦だったという事だろう。ピッチに立てた喜び、同点に追いつかれた悔しさ、声援への感謝……涙の理由は1つではない。そんな複数の感情の高まりを抑えきれなかった。そう考えると違和感は消えた。

そもそも素直に泣けるのは素晴らしい事だ。今節に至るまでの過程で努力し、考え抜いてきたからこそ流せる涙がある。女性にとっての涙が武器なら、男性にとっての涙は証明だ。涙の裏にあるものに対して真摯に向き合ってきた証。

田尻、J1デビューおめでとう。


試合後、深々と頭を下げる田尻

■彼をリラックスさせたもの

田尻自身が試合後に語っているように緊張感はなく、スムーズに試合に入れていたのはポジティブな驚きだった。本人のベンチでの過ごし方による効果も大きいだろうが、藤本の「健にはそんなビッグセーブを期待してないから大丈夫だから」という声掛けに助けられたというコメントは見逃せない。

正直、今のガンバの戦い方において藤本の使われ方は想像がつかない。ただ、そういう状況でもチームに貢献できるベテランの存在価値は考えておきたい部分。仮に同じ発言を初瀬がしたところで田尻に同じ影響を与えたとは思えない訳で、実績とキャリアのある選手がベンチに控える意味の大きさも感じた一戦だった。

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リスペクト不要 -江蘇蘇寧戦-

【ガンバ大阪 0-1 江蘇蘇寧】

必要以上に中国クラブをリスペクトし過ぎているんじゃないだろうか。もう少しリスクを冒した戦い方が出来たはずだと歯がゆく思っている。特に前半は少し腰が引けていたように見えた。サッカー界において経済力はチーム力である事は事実ながら、メディアをはじめそこを煽り過ぎた結果、深層心理に影響を及ぼしたのではないか。

後半はいい戦い方が出来たので勝ち点を奪えたのでは・・・と悔しさを覚える一方で、江蘇的には想定通りの内容と結果だったのかなとも思う。ガンバにほぼ決定機を作らせない守備に加え、ワンチャンスをしっかり決めきる助っ人。あの決定力こそ経済力。ゴールは金で買える。0-1という状況でなければ後半の展開はなかったであろう事を考えればチーム力の差は感じた。

ただ、大きなな差でない。素直に後半の良いイメージをもって精神的にも上から目線で次節は戦えばいいと思う。状況的にも「江蘇アウェイでは勝ち点1でOK」とは言ってられない。今節を見る限りサイドからの攻撃が1つポイントになるのであれば、途中出場で好機を演出した律、泉澤や米倉のスタメンも視野にいれつつ前半からの積極性を期待したい。

私も次節は今シーズン初のACLアウェイ遠征、南京に参戦予定。少しでも選手達の勇気になれば。

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【U-23】試合経験をトレーニングに活かす -ガイナーレ鳥取戦-

【ガンバ大阪 0-2 ガイナーレ鳥取】

ツネ様初采配は完敗。Gマガ読む限り、個よりもチーム戦術を重視してると書いていたので期待していたのだが完成度はまだまだ。目立ったのは森のキャプテンシーと高江の個人技くらい。ただ、U-23は長いスパンで見る事が大切だと思っている。チーム構成(平均年齢)的に去年以上にそうあるべきだろう。結果に一喜一憂しない。


森選手の動きがコミカルで気になる…

この試合では昨年からメンバーが大きく入れ替わり、ユースの選手を含め10代が増えた事でファジカルの差が目立った。ここ2試合のトップチームを観れば分かるように大切なのは戦術やシステムの前に「球際」など1対1の戦いの部分だと思うが、気持ちだけではいかんともしがたい大人達とのフィジカル差がある序盤は苦労するかもしれない。

ただ、そうやって実体験としてフィジカルを上げる必要性を経験してのトレーニングと、ただやらされるトレーニングでは成果がまるで違うだろう。試合前のアップもトップチームのそれより負荷が強かったが、U-23のフィジカルコーチは厳しい指導で有名らしい。いつ頃から成果が出てくるか楽しみだ。

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正義は逆境から生まれる -FC東京戦-

【ガンバ大阪 3-0 FC東京】

ヒガシが大久保のPKを止めた時にまず思ったのは「正義は勝つ」だった。悪はFC東京ではなく、岡部主審だ。基準が意味不明なファール判定、理不尽な警告……大ブーイングがスタジアム中に響く中、予感はあった。あの雰囲気でPKを止めない方が嘘だとも思った。そして、PKを止めた後のヒガシは神と化した。この試合、ヒガシこそ正義だった。


試合後のプロジェクションマッピング

■逆境は力になる

試合後インタビューでヒガシは「みんながほんまに戦っていたんで、自分もという気持ちがすごく強かったです」とコメントを残しているが、戦えた要因はどこにあるのか。

案外、岡部主審への不満が反発心を生んだのではないか。少なくともサポーターとしての自分はそうだった。PK判定に納得のいかないファビオが止血のために被っていた水泳帽を投げ捨てて怒りを露わにしたシーンに士気が高まった。不可解な判定、悪質なファール、味方の怪我……一見逆境に思えるシーンをきっかけにアドレナリンが出る時がある。

ただ、アドレナリンが出過ぎると大久保の様になってしまうので注意が必要だ。気持ちが向かう先がガンバゴールではなく味方に向いているのがわかった時点で勝てると思った。川崎時代の末期を思い出させるアンフィット感。側から見れば異質なのは大久保の方なのだが、自分の考えを最優先に味方への不満や要求だけを繰り返す姿は自分の会社のパワハラ上司と重なった。仲間との考え方の違いを受け入れない先には何が待っているのか……。

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危機感は疲労感に勝る -柏レイソル戦-

【ガンバ大阪 3-1 柏レイソル】

予め断わっておくが、私はシーズン前から手の平を返すスタイルで今シーズンも応援すると宣言している。最初から3バックを信じていた・・・とまではさすがに書かないまでも、今節の3バックは素晴らしかった。マッチアップが明確になるシステムにおいて選手個々の気持ちが分かりやすく発揮されていた。個人的には昨年の対戦でチンチンにやられたクリスティアーノとマッチアップした三浦が出色のパフォーマンスだったと思う。彼やファビオを見ているとDFにとって対人守備の強さの重要性を痛感させられる。ハリルも高評価らしいので、それもモチベーションに更なる高みを目指して欲しい。


何度もドリブルでチャンスを生みだしたアデミウソン

■ポジティブな危機感

悲惨な内容のゲームから中3日の鬼門アウェイで完勝劇があるなんて正直想像していなかった。一言で表現すれば「危機感が疲労感に勝った」という事か。オシムの名言「肉離れ?ライオンに襲われた野うさぎが逃げ出すときに肉離れしますか?準備が足りないのです」を思い出す。

「危機感」「反骨心」・・・言葉にするほど簡単じゃなかったはず。前節ネガティブな結果となった3バック継続という指揮官の判断の中、前向きな姿勢で試合に挑めた選手達のメンタリティは尊敬に値する。こういう試合があるからサッカーを人生と重ねてしまう。ピッチから学ぶべきものは多い。

今節のターニングポイントとなった後半のヒガシの神セーブしかり、初瀬の積極性しかり、緊張感や危機感といったメンタリティの部分がハイパフォーマンスを引き出す事を改めて感じた。これを継続するのは安易ではないが、チーム内のレギュラー争いでその雰囲気を醸成して欲しいと願う。

結果的には成功したが今節でスタメンをさほど変更しなかったのはチームマネジメント的には疑問も感じる。「ターンオーバーさせてあげる事ができない」という指揮官の言葉からはベンチ選手達の信頼が低い事が伺いしれるが、初ベンチ入りした井出や、短い出場時間でもインパクトを残した律などレギュラー外選手達の活躍で更にチームが好循環に入る事を今後は期待したい。

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